2013年8月24日(土)幸手〜南栗橋

2013-08-24 11.37.59

6回目の細道紀行は8月24日(土)。情け容赦ない猛暑のなか、ペットボトル片手に歩き出す。

2013-08-24 11.44.02

日光街道をしばらく行くと、ペットショップカトウという看板のわきに鳩の入った鳥カゴが並んでいる。奥には作業ズボンの兄ちゃんがひとり。あの、これレース鳩?「はい。1100キロは飛びますよ」本業はリフォーム屋さんなのだけど、鳩を扱いたくて始めた店だとか。「ベルギーで優秀な成績を納めたニューシャンデリー号の孫」と説明してもらうと、心なしか鳩の顔が賢そうに見えてくる。ほかにもインコやらシャモやらがいっぱい。「夜は全部のカゴを店の中に入れるから、足の踏み場もないです」と嬉しそうに言う。

2013-08-24 11.54.49  2013-08-24 12.05.02

さて、昼飯どうしようと考えつつ先へと歩く。と、定食屋「しえる」発見。店主いわく「近くで農家やってて、米も野菜もそこで採れたもの」だって。これは期待。まず「これでもつまんでて」と出て来たのがチャーシューと餃子。付きだしというよりおかずである。なすピーマン味噌炒め定食は小鉢にかぼちゃがついている。さらに、さっき食べたチャーシューの皿に再びチャーシューが盛られて出て来た。「ご飯おかわりしてねー」ありがとうございます…でも既にけっこう満腹です。「うちは畑に砂が入ってるから、他のところより土がいい」んだそうです。「夜は飲み屋もやってるよ!」

2013-08-24 13.17.44  Exif_JPEG_PICTURE

日光街道をさらに行くと、永文商店という古い酒屋さんがあった。樽に入った生酒を売っている。エプロンをかけた粋な姐さんに「飲んでみます?」と言われ、試飲させてもらと、おお。まろやか。ここの自慢は、店の奥に続くトロッコのレール。街道沿いのため店がタテに長く、酒瓶などを運ぶのにトロッコを使っていたんだそう。このレールを見学しにくる方もいるらしい。そのレールわきに、昔ながらほうろうの看板が無造作に置いてあるのもいい感じだなあ。

2013-08-24 13.26.25  2013-08-24 13.30.26

ちょっと道をそれてみる。昔ながらの店構えの小林豆腐店。「消泡剤を使わずとうふを造っています」という張り紙もみえる。時計は14時過ぎ。父と息子らしきおふたりが、洗い物をはじめていた。豆腐買いたいけど旅の途中なので…と言い訳してたら「どうぞ」と冷や奴を出していただいた。しかも一丁。う、あの、さっき食べ過ぎててかなり腹苦しいんですけど…。しかし、さすが老舗の豆腐。ペロッと食べてしまった。凝固剤はにがりのみ使用だって。83年変わらないという優しい味。

2013-08-24 14.19.20  2013-08-24 14.19.35  2013-08-24 14.20.43

すっかりふくらんだ腹をさすりながら、炎天下を歩く。田んぼの緑が目にまぶしい。蝉の声が降ってくる。トタンの壁に木の影が黒々と落ちている。

Exif_JPEG_PICTURE  Exif_JPEG_PICTURE

あれはイチジクだな。赤紫の実もなっている。公園では外回りのサラリーマンらしき人がひと休みしている。

Exif_JPEG_PICTURE  Exif_JPEG_PICTURE

Exif_JPEG_PICTURE  Exif_JPEG_PICTURE

あからさまにピンク色の建物が見えて来た。屋根のところに「栗橋大一劇場」とでっかく書かれている。あ、ストリップ劇場か。駐車場で足の悪そうな猫がこっちを見ている。小屋の中に入ってみたいけど、お金がないや。よし、劇場は次回のお楽しみということにして、今日はここまでにしよう。

Exif_JPEG_PICTURE  Exif_JPEG_PICTURE

お姉さんたちの写真が載ったポスターで公演予定をしっかりチェックして、南栗橋駅に向かった。

Exif_JPEG_PICTURE

2013年7月21日(日)杉戸〜幸手

国道4号線からすこし脇に入ってみる。家庭菜園で作業しているおじさんがいた。本業は会社勤めらしいけど、いつも帰宅してから畑仕事をするんだそうだ。植えてあるのは大豆、山芋、トマト、トウモロコシなどなど。けして広い畑ではないけど、どれも元気に伸びている。ずっと杉戸に住んでいるとのことで「40年前はアスファルトなんかなかった。ここも砂利道だったんだよ」と笑う。

2013-07-21 15.16.19  Exif_JPEG_PICTURE

道沿いにはヒマワリ、アサガオ、サルスベリ、ダリア。夏の花は色が鮮やか。水田も濃いグリーンだ。

県立杉戸高校の前を通る。下校中の女子3人組に声をかけてみた。3人ともバレー部の2年生。今日は3年生が引退したあと初めての練習日だったとか。いきなり声かけたのは、さすがに不審に思われたみたい。あきらかに3人とも怪訝そうな顔してたし。ごめんなさい。『家族に乾杯』鶴瓶師匠の偉大さをあらためて感じたわ。

Exif_JPEG_PICTURE  Exif_JPEG_PICTURE

ボウリング場のわきを通る。屋根の上には昔ながらのでっかいボウリングピン。野菜の無人販売所には「どれでも1個100円です」と張り紙。売り切れなのか、ゆずが一袋、玉ねぎが一袋だけしか置いてなかったけどね。

2013-07-21 16.18.23  2013-07-21 16.18.07

公民館の前を通ると「投票所」の看板。晴れた空の下、公民館の駐車場には投票しに来た人たちの車が出入りしている。

2013-07-21 17.05.20

幸手駅前についたのはまだまだ明るい17時半。駅近くにピンクの壁のレコードショップがあった。入るとすぐ左手の棚に演歌のカセットがずらっと並ぶ。今どきチェーンじゃないレコード・CDショップも珍しいけど、カセットとは! ちょうどご夫婦らしきご年配客が店主に話しかけていた。「五木ひろしの新曲“○○”が入ったカセットはまだ出ていませんか?」「すみません…まだですねえ」なるほど、確かにカセットの需要があるらしい。

2013-07-21 17.43.52  2013-07-21 17.59.13

興味をひかれて店主にきいてみると、この店「CAROL」は駅前で24年営業しているとか。店名の由来は永ちゃんのバンド、キャロル・キング、車の名前…「いろいろ想像できるからいいでしょ」とのこと。店主は歴史好きらしく、東北まで行くんですよ、と告げると「明治期にイザベラ・バードというイギリス人女性旅行家が東北を旅して、記録を残しているよ」と教えてくれた。偉大なる先輩ってわけか。読んでみよ…てなところでこの日は終了。

 

2013年7月21日(日)春日部〜杉戸

Exif_JPEG_PICTURE5回目の細道紀行は7月21日(日)。この日は参議院選挙の日だった。地元で投票をすませてから電車でスタート地点の春日部駅に向かう。春日部といえばスピッツの名曲『ロビンソン』でもおなじみのロビンソン百貨店…いまは西部春日部店になってるけど。それはともかくこの日も真夏日。水分補給を欠かさないようにして、では参るとしよう。

Exif_JPEG_PICTURE

春日部駅前には旧映画館通りというのがあって、レトロな映画看板が展示されている。邦画なら『キューポラのある街』『羅生門』『カルメン故郷に帰る』、洋画なら『禁じられた遊び』『太陽がいっぱい』『街の灯』…ちょっと微妙なのもあるけど、もともと映画看板の絵って微妙だからね。

歩道のわきに「久代おばちゃんと作る!摘みたてラベンダー香り袋」というポスター発見。誰だよ、久代おばちゃん。そして「同時開催 コシヒカリ両手ですくい取り大会」。香り袋とコシヒカリの関係はなんなのだ。あるいは久代様がコシヒカリすくい取りのディフェンディング・チャンピオンなのか。謎は深まるばかりである。

Exif_JPEG_PICTURE  2013-07-21 11.35.00

大落古利根川を渡る。今日はできるだけ会う人に声をかけよう、そう心に決めた。前回、出発点の越谷あたりはともかく、後半ずっと黙々と歩いているだけだったからな。せっかくのひとり旅だ。たまたま出会ったひとの昔話や世間話に相槌をうってみたい。

てなこと考えながら歩いていると、道路沿いの家の前で菊の手入れをしている男性がいた。ここはひとつ「ぶらり途中下車の旅」のノリで話かけてみよう。「こんちはー」麦わら帽子にTシャツ姿のおじさん。よかった、優しそうだ。

今年74歳。サラリーマンを定年退職して、今は奥さんとふたり暮らしらしい。庭いじりが好きで、菊の栽培は50代のころからかれこれ20年やっている。ひとつの鉢に花は三つ。「三つの花の高さをそろえて開かせるのが難しいんだよ」しかもちょうど11月3日の文化の日に開花させるんだとか。凄いっすね。俺は東北まで歩いて行く途中なんですよ、と話すと、おじさんは家のなかにいる奥さんに声をかけた。「おーい、缶コーヒーあったろ」ありがとうございます! 缶コーヒー1本いただいた。

2013-07-21 11.57.08  2013-07-21 11.58.26

まわりを見渡すと、庭には立派な鯉の池があり、手入れされた松があり、石灯籠があり、大きなサボテンがあり…。おじさんかなり凝り性だな。そうしている間も葉を手入れする手は動かしている。菊に目を向けたまま「親に迷惑かけてるんじゃないか?」いや、迷惑はかけてないけど、去年仕事を辞めたのでちょっと心苦しいです。すみません。

お礼を言って旧日光街道をさらに進む。早くもお昼になっていたので、昼飯にしたいのだが、店がありそうな雰囲気ではない。困ったなと思っていたら、前の方から『Dr.スランプ』のアラレちゃんが歩いて来た。ロングヘアーに太ぶちメガネ、そしてサロペット。あの、則巻アラレさんですよね?

「んちゃ!」「このあたりでランチできる店あります?」「ガストくらいしかないよ。うほほーい」

嘘です。

でもガストくらいしかないのは本当。そしてアラレ似の彼女がその店に行こうとしていたのも本当。じゃあ、よかったらご一緒してもらえません?「友達と待ち合わせてるので、あとで合流するけどいいですか?」もちろん! そんな成り行きで、ふたりでガストへ。『ぶらり途中下車の旅』というより『鶴瓶の家族に乾杯!』みたいになってきた。

春日部のアラレ嬢は18歳で、近くの自動車教習所に通っている。いま仮免。ちょうどお昼休みで、午後にも教習があるんだとか。自然と車の話になった。俺はワーゲンミニバスに乗っているのだけど、ちょっとうらやましがられた。へへっ。「ミニバスに乗りたいけど、軽を改造したやつでもいいかな」昔、草加の中古車屋に置いてあったのを見て以来、乗りたいと思ってるらしい。想像してみたら、アラレちゃんとミニバスのデザインってめちゃんこ似合うんじゃない? 鳥山明先生が既に描いていそうなくらい。

そうこうしているうちに、アラレ嬢の友人がガストに到着。アラレ母の車に送ってもらったんだとか。お、お母様、すみません。けして怪しい者ではない…とも言いきれないか。あとで聞けば、お父さんは俺と同い年らしい。意味なくちょっとへこんだ。

2013-07-21 13.18.34アラレちゃんもキュートだが、友人は安めぐみにちょい似の美人であった。高校時代の卓球部仲間だそうだ。昼ご飯つきあってくれてありがとね。

アラレ&めぐみと別れて、国道4号線を延々と歩く。杉戸市に入ったあたりに、地球のカタチのモニュメントがあった。「すきすきすぎーと36」…北緯36度線が通ってることを表してるらしいが、何とかならんかったんかい、ネーミング。

Exif_JPEG_PICTURE   2013-07-21 14.06.16

 

2013年7月12日(金)越谷〜春日部

県道52号に戻ってさらに歩く。商店の店先に提灯が架けられている。八坂神社の祭が近いらしい。そしてこのあたりにもせんべい屋さんがちらほら。自宅の軒先で焼いてるような店もあって、草加より庶民的な感じ。1枚60円か。「草加よりこっちのほうが美味しいよ!」と店のおばちゃん。

2013-07-12 14.03.58  2013-07-12 14.33.24

北越谷駅を過ぎ、宮内庁の埼玉鴨場の前を通ってさらに北上。「下間久里の獅子舞」のポスターを見かけた。埼玉県指定無形民俗文化財だそうだ。ただしこの獅子舞は江戸の獅子舞とはずいぶ ん違う。二人一組ではなく、ひとりで獅子頭をつけ、腰のあたり締め太鼓を構え、立って舞うらしい。つまり岩手や宮城の鹿踊りに近い。すでに東北の入口に来てるのかも…という気がしてきた。

2013-07-12 15.37.26   2013-07-12 15.43.40

「だるま産業」や「だるま弁当」の看板もある。産地なのかなあ。武里駅近くまで来ると、今度は「やったり踊り」の立て看板。こちらも埼玉県無形文化財だそうだ。しかも明日が「やったり踊り」のまさに本番らしく、交通規制の案内がされている。ちょっと見たかったな。気になったので、あとでググってみたら「念仏踊りの一種で、隣村との争いに勝利した喜びの踊りが由来」らしい。「ヤッタリ ヤッタリ ヤッタリナー」というかけ声とともに踊る…え? それって往年の傑作アニメ『ヤッターマン』勝利のポーズのルーツちゃうん?「ヤッター!ヤッター!ヤッターマーン」ってやつ…と、半ば冗談のつもりでYouTubeで確かめてみたら、ガニ股で踊るところまで一緒だった。マジかよ。

2013-07-12 17.02.20

 

歩き過ぎたせいか、不意にクラっとし始めた。まずい。これが世に言う熱射病ってやつですかね。あわてて県道沿いのガストに緊急避難する。ちなみにこの日、埼玉の最高気温36℃。夏の外歩きは気をつけないとね…。

そんなこんなで春日部駅に到着。ここにも神輿が並んでいる。埼玉が誇る伝統文化にうち震えた一日であった。

2013-07-12 18.01.39  2013-07-12 18.00.35