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2013年9月12日(木)南栗橋

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3週間後の9月12日(木)。7回目の細道紀行は南栗橋駅からスタート。駅には栗橋商工会のショーケースがあって、萌えキャラ「栗橋みなみ」ちゃんが迎えてくれる。が、今回は脇目もふらず栗橋大一劇場へ。

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正式名称は「ライブシアター栗橋」というのか、ほうほう。受付のポスターを見ると、開演が12時なのに、10時半には開場してるらしい。通常5000円で12時までに入ると4500円。「パンプレの日」というのが決まってるようなのだか、パンプレってなんだ?…受付で聞いたら「パンティプレゼント」のことでした。踊り子さんがパンティプレゼントしてくれるのね。知らないことだらけだ。入口付近に貼られた香盤表(プログラム)をしげしげ見ていたら、「香盤表は奥にもありますからねー」と注意されてしまった。

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客席にはいると、お客さんがすでに10~15名くらい。扇形のステージがあり、そのいちばん前のところに、中華テーブルみたいな回転盤がある。舞台袖のところにテレビモニターがあって、楽屋の様子が映っている。つまり踊り子さんの着替えや準備の様子が見られるというわけだ。なるほど、開演1時間半も前にお客さんが来ている理由はこれか。

そうこうしてるうちに場内アナウンスが入った。が、なに言ってるかわからん。滑舌の悪いロシア語に聞えるよ。さっきの受付の兄ちゃんが喋ってるんだろうな。

この日最初のステージは山口桃華さん。正直ちょっと、いやかなり感激した。笑顔が可愛い! 最初はドレスっぽい衣装で登場して、順に脱いでいくんだけど、ここぞというところで客席にウインクする。これにはやられた。しかも体が柔らかくてダンスにキレがある。音楽はSHAZNA、L’Arc-en-Ciel、LUNA SEA…と90年代ビジュアル系ヒット曲でまとめられているのにもニヤリとしてしまった。

客席もけっこう盛り上がってる。常連さんだろうか、両手に鈴を持ったおじさんがいて、曲にあわせてシャンシャン鳴らしてます。すごいな、肩にめっちゃ力入ってるよ。

いよいよ最後はすっぽんぽんになって、例の回転板のうえで「ご開帳」タイム。ヨガみたいなポーズの桃華さんを乗せて、回転板が回る。スピーカーからは河村隆一の歌が流れている。♪こ~こ~ろ~からぁ~…その甘い歌声のなか、彼女の大事な部分が正面にくると、客席から拍手が起こった。そういうルールなのね。最前列のおじさんの頭が、その瞬間だけぐいっと前に動くのがわかる。少しでも近くで見ようという気概が伝わってまいります。

ステージのあとは、桃華さんの写真プレゼントコーナー。デジカメで写真を撮らせてもらえる。せっかくなので私も撮らせてもらうことにした。1枚500円。撮りながら「東北まで歩いて行く途中なんですよ」と告げる。「わあ、がんばってください!」客席からも「がんばれよー」という声が飛ぶ。なんてアットホームな劇場なんだ。

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まだまだステージは続くけど、そろそろ行かねば。「このあとのお姉さんもいいよー」という常連さんの声に後ろ髪ひかれつつ、劇場を出た。桃華さんの写真は道中のお守りにしよう。劇場を出ると、駐車場の猫が「お前さん、ナニ浮かれてんだ」というような顔でこっちを見ていた。

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2013年8月24日(土)幸手〜南栗橋

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6回目の細道紀行は8月24日(土)。情け容赦ない猛暑のなか、ペットボトル片手に歩き出す。

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日光街道をしばらく行くと、ペットショップカトウという看板のわきに鳩の入った鳥カゴが並んでいる。奥には作業ズボンの兄ちゃんがひとり。あの、これレース鳩?「はい。1100キロは飛びますよ」本業はリフォーム屋さんなのだけど、鳩を扱いたくて始めた店だとか。「ベルギーで優秀な成績を納めたニューシャンデリー号の孫」と説明してもらうと、心なしか鳩の顔が賢そうに見えてくる。ほかにもインコやらシャモやらがいっぱい。「夜は全部のカゴを店の中に入れるから、足の踏み場もないです」と嬉しそうに言う。

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さて、昼飯どうしようと考えつつ先へと歩く。と、定食屋「しえる」発見。店主いわく「近くで農家やってて、米も野菜もそこで採れたもの」だって。これは期待。まず「これでもつまんでて」と出て来たのがチャーシューと餃子。付きだしというよりおかずである。なすピーマン味噌炒め定食は小鉢にかぼちゃがついている。さらに、さっき食べたチャーシューの皿に再びチャーシューが盛られて出て来た。「ご飯おかわりしてねー」ありがとうございます…でも既にけっこう満腹です。「うちは畑に砂が入ってるから、他のところより土がいい」んだそうです。「夜は飲み屋もやってるよ!」

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日光街道をさらに行くと、永文商店という古い酒屋さんがあった。樽に入った生酒を売っている。エプロンをかけた粋な姐さんに「飲んでみます?」と言われ、試飲させてもらと、おお。まろやか。ここの自慢は、店の奥に続くトロッコのレール。街道沿いのため店がタテに長く、酒瓶などを運ぶのにトロッコを使っていたんだそう。このレールを見学しにくる方もいるらしい。そのレールわきに、昔ながらほうろうの看板が無造作に置いてあるのもいい感じだなあ。

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ちょっと道をそれてみる。昔ながらの店構えの小林豆腐店。「消泡剤を使わずとうふを造っています」という張り紙もみえる。時計は14時過ぎ。父と息子らしきおふたりが、洗い物をはじめていた。豆腐買いたいけど旅の途中なので…と言い訳してたら「どうぞ」と冷や奴を出していただいた。しかも一丁。う、あの、さっき食べ過ぎててかなり腹苦しいんですけど…。しかし、さすが老舗の豆腐。ペロッと食べてしまった。凝固剤はにがりのみ使用だって。83年変わらないという優しい味。

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すっかりふくらんだ腹をさすりながら、炎天下を歩く。田んぼの緑が目にまぶしい。蝉の声が降ってくる。トタンの壁に木の影が黒々と落ちている。

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あれはイチジクだな。赤紫の実もなっている。公園では外回りのサラリーマンらしき人がひと休みしている。

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あからさまにピンク色の建物が見えて来た。屋根のところに「栗橋大一劇場」とでっかく書かれている。あ、ストリップ劇場か。駐車場で足の悪そうな猫がこっちを見ている。小屋の中に入ってみたいけど、お金がないや。よし、劇場は次回のお楽しみということにして、今日はここまでにしよう。

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お姉さんたちの写真が載ったポスターで公演予定をしっかりチェックして、南栗橋駅に向かった。

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2013年7月21日(日)杉戸〜幸手

国道4号線からすこし脇に入ってみる。家庭菜園で作業しているおじさんがいた。本業は会社勤めらしいけど、いつも帰宅してから畑仕事をするんだそうだ。植えてあるのは大豆、山芋、トマト、トウモロコシなどなど。けして広い畑ではないけど、どれも元気に伸びている。ずっと杉戸に住んでいるとのことで「40年前はアスファルトなんかなかった。ここも砂利道だったんだよ」と笑う。

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道沿いにはヒマワリ、アサガオ、サルスベリ、ダリア。夏の花は色が鮮やか。水田も濃いグリーンだ。

県立杉戸高校の前を通る。下校中の女子3人組に声をかけてみた。3人ともバレー部の2年生。今日は3年生が引退したあと初めての練習日だったとか。いきなり声かけたのは、さすがに不審に思われたみたい。あきらかに3人とも怪訝そうな顔してたし。ごめんなさい。『家族に乾杯』鶴瓶師匠の偉大さをあらためて感じたわ。

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ボウリング場のわきを通る。屋根の上には昔ながらのでっかいボウリングピン。野菜の無人販売所には「どれでも1個100円です」と張り紙。売り切れなのか、ゆずが一袋、玉ねぎが一袋だけしか置いてなかったけどね。

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公民館の前を通ると「投票所」の看板。晴れた空の下、公民館の駐車場には投票しに来た人たちの車が出入りしている。

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幸手駅前についたのはまだまだ明るい17時半。駅近くにピンクの壁のレコードショップがあった。入るとすぐ左手の棚に演歌のカセットがずらっと並ぶ。今どきチェーンじゃないレコード・CDショップも珍しいけど、カセットとは! ちょうどご夫婦らしきご年配客が店主に話しかけていた。「五木ひろしの新曲“○○”が入ったカセットはまだ出ていませんか?」「すみません…まだですねえ」なるほど、確かにカセットの需要があるらしい。

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興味をひかれて店主にきいてみると、この店「CAROL」は駅前で24年営業しているとか。店名の由来は永ちゃんのバンド、キャロル・キング、車の名前…「いろいろ想像できるからいいでしょ」とのこと。店主は歴史好きらしく、東北まで行くんですよ、と告げると「明治期にイザベラ・バードというイギリス人女性旅行家が東北を旅して、記録を残しているよ」と教えてくれた。偉大なる先輩ってわけか。読んでみよ…てなところでこの日は終了。

 

2013年7月21日(日)春日部〜杉戸

Exif_JPEG_PICTURE5回目の細道紀行は7月21日(日)。この日は参議院選挙の日だった。地元で投票をすませてから電車でスタート地点の春日部駅に向かう。春日部といえばスピッツの名曲『ロビンソン』でもおなじみのロビンソン百貨店…いまは西部春日部店になってるけど。それはともかくこの日も真夏日。水分補給を欠かさないようにして、では参るとしよう。

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春日部駅前には旧映画館通りというのがあって、レトロな映画看板が展示されている。邦画なら『キューポラのある街』『羅生門』『カルメン故郷に帰る』、洋画なら『禁じられた遊び』『太陽がいっぱい』『街の灯』…ちょっと微妙なのもあるけど、もともと映画看板の絵って微妙だからね。

歩道のわきに「久代おばちゃんと作る!摘みたてラベンダー香り袋」というポスター発見。誰だよ、久代おばちゃん。そして「同時開催 コシヒカリ両手ですくい取り大会」。香り袋とコシヒカリの関係はなんなのだ。あるいは久代様がコシヒカリすくい取りのディフェンディング・チャンピオンなのか。謎は深まるばかりである。

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大落古利根川を渡る。今日はできるだけ会う人に声をかけよう、そう心に決めた。前回、出発点の越谷あたりはともかく、後半ずっと黙々と歩いているだけだったからな。せっかくのひとり旅だ。たまたま出会ったひとの昔話や世間話に相槌をうってみたい。

てなこと考えながら歩いていると、道路沿いの家の前で菊の手入れをしている男性がいた。ここはひとつ「ぶらり途中下車の旅」のノリで話かけてみよう。「こんちはー」麦わら帽子にTシャツ姿のおじさん。よかった、優しそうだ。

今年74歳。サラリーマンを定年退職して、今は奥さんとふたり暮らしらしい。庭いじりが好きで、菊の栽培は50代のころからかれこれ20年やっている。ひとつの鉢に花は三つ。「三つの花の高さをそろえて開かせるのが難しいんだよ」しかもちょうど11月3日の文化の日に開花させるんだとか。凄いっすね。俺は東北まで歩いて行く途中なんですよ、と話すと、おじさんは家のなかにいる奥さんに声をかけた。「おーい、缶コーヒーあったろ」ありがとうございます! 缶コーヒー1本いただいた。

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まわりを見渡すと、庭には立派な鯉の池があり、手入れされた松があり、石灯籠があり、大きなサボテンがあり…。おじさんかなり凝り性だな。そうしている間も葉を手入れする手は動かしている。菊に目を向けたまま「親に迷惑かけてるんじゃないか?」いや、迷惑はかけてないけど、去年仕事を辞めたのでちょっと心苦しいです。すみません。

お礼を言って旧日光街道をさらに進む。早くもお昼になっていたので、昼飯にしたいのだが、店がありそうな雰囲気ではない。困ったなと思っていたら、前の方から『Dr.スランプ』のアラレちゃんが歩いて来た。ロングヘアーに太ぶちメガネ、そしてサロペット。あの、則巻アラレさんですよね?

「んちゃ!」「このあたりでランチできる店あります?」「ガストくらいしかないよ。うほほーい」

嘘です。

でもガストくらいしかないのは本当。そしてアラレ似の彼女がその店に行こうとしていたのも本当。じゃあ、よかったらご一緒してもらえません?「友達と待ち合わせてるので、あとで合流するけどいいですか?」もちろん! そんな成り行きで、ふたりでガストへ。『ぶらり途中下車の旅』というより『鶴瓶の家族に乾杯!』みたいになってきた。

春日部のアラレ嬢は18歳で、近くの自動車教習所に通っている。いま仮免。ちょうどお昼休みで、午後にも教習があるんだとか。自然と車の話になった。俺はワーゲンミニバスに乗っているのだけど、ちょっとうらやましがられた。へへっ。「ミニバスに乗りたいけど、軽を改造したやつでもいいかな」昔、草加の中古車屋に置いてあったのを見て以来、乗りたいと思ってるらしい。想像してみたら、アラレちゃんとミニバスのデザインってめちゃんこ似合うんじゃない? 鳥山明先生が既に描いていそうなくらい。

そうこうしているうちに、アラレ嬢の友人がガストに到着。アラレ母の車に送ってもらったんだとか。お、お母様、すみません。けして怪しい者ではない…とも言いきれないか。あとで聞けば、お父さんは俺と同い年らしい。意味なくちょっとへこんだ。

2013-07-21 13.18.34アラレちゃんもキュートだが、友人は安めぐみにちょい似の美人であった。高校時代の卓球部仲間だそうだ。昼ご飯つきあってくれてありがとね。

アラレ&めぐみと別れて、国道4号線を延々と歩く。杉戸市に入ったあたりに、地球のカタチのモニュメントがあった。「すきすきすぎーと36」…北緯36度線が通ってることを表してるらしいが、何とかならんかったんかい、ネーミング。

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2013年7月12日(金)越谷〜春日部

県道52号に戻ってさらに歩く。商店の店先に提灯が架けられている。八坂神社の祭が近いらしい。そしてこのあたりにもせんべい屋さんがちらほら。自宅の軒先で焼いてるような店もあって、草加より庶民的な感じ。1枚60円か。「草加よりこっちのほうが美味しいよ!」と店のおばちゃん。

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北越谷駅を過ぎ、宮内庁の埼玉鴨場の前を通ってさらに北上。「下間久里の獅子舞」のポスターを見かけた。埼玉県指定無形民俗文化財だそうだ。ただしこの獅子舞は江戸の獅子舞とはずいぶ ん違う。二人一組ではなく、ひとりで獅子頭をつけ、腰のあたり締め太鼓を構え、立って舞うらしい。つまり岩手や宮城の鹿踊りに近い。すでに東北の入口に来てるのかも…という気がしてきた。

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「だるま産業」や「だるま弁当」の看板もある。産地なのかなあ。武里駅近くまで来ると、今度は「やったり踊り」の立て看板。こちらも埼玉県無形文化財だそうだ。しかも明日が「やったり踊り」のまさに本番らしく、交通規制の案内がされている。ちょっと見たかったな。気になったので、あとでググってみたら「念仏踊りの一種で、隣村との争いに勝利した喜びの踊りが由来」らしい。「ヤッタリ ヤッタリ ヤッタリナー」というかけ声とともに踊る…え? それって往年の傑作アニメ『ヤッターマン』勝利のポーズのルーツちゃうん?「ヤッター!ヤッター!ヤッターマーン」ってやつ…と、半ば冗談のつもりでYouTubeで確かめてみたら、ガニ股で踊るところまで一緒だった。マジかよ。

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歩き過ぎたせいか、不意にクラっとし始めた。まずい。これが世に言う熱射病ってやつですかね。あわてて県道沿いのガストに緊急避難する。ちなみにこの日、埼玉の最高気温36℃。夏の外歩きは気をつけないとね…。

そんなこんなで春日部駅に到着。ここにも神輿が並んでいる。埼玉が誇る伝統文化にうち震えた一日であった。

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2013年7月12日(金)越谷

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4日目は7月12日(金)。越谷駅前からスタートして県道52号を歩いていく。空はピーカン。なんつう暑さだ。道沿いの軒に干してあるスニーカーもあっという間に乾きそう。

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旧街道沿いだけあって、並んでいる商店も年季はいっていそうな建物が多い。そんななかで「夢空感」と書かれた看板を掲げた建物に出くわした。越谷市商工会が運営しているスペースらしい。なかに入るとNPO法人「越谷市郷土研究会」の事務所があった。カワバタさんという白髪の紳士が町の歴史などを教えてくれる。ん、なんですか? この畳針やらトングやら金属製の毛抜きやらは? どうやら地元の金物屋さんなどで扱っている道具を展示しているらしい。越谷は金物の町でもあるのかな。「こけら落し」という道具があるのね。初めて知った。

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カワバタさんに近所で食事できそうな店をきくと「この辺だとホウライ、かなあ…」とのこと。なるほど「夢空感」から目と鼻の先に「中華料理 宝来」があった。先客のおじさん3人、冷やし中華をつまみにビール飲んでらっしゃる。常連さんらしい。おひとりはご近所のバイクショップの会長さん。震災後、石巻から雄勝、女川、牡鹿半島方面をバイクボランティアに出かけた話を聞かせてくれた。実は俺も震災後、石巻に縁ができてしょっちゅう通っているので、よくわかる。越谷で石巻地方の話をうかがうというのも、これまた縁だな。

この店の息子さんは木瀬乃若という四股名の力士だそうで。3人の常連さん口を揃えて「応援してんだよ」と嬉しそう。昔ながらのラーメン半チャンで腹ごしらえもできたし、先を急ぎますか。

越谷本町の交差点を過ぎ、元荒川を越える。「越谷市郷土研究会」で教えてもらった「久伊豆神社」というのを思い出し行ってみることに。「ひさいずじんじゃ」なのだが、「くいずじんんじゃ」と読めることからバラエティ番組で取り上げられることもあるとか。

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鳥居のところまでくると、まっすぐな石畳の参道がずいーっと奥まで続いている。これは由緒正しそうだ。杉やヒノキの緑の下をくぐって本殿まで着くと、ん?なんだ? 狛犬の足が藁のようなものでぐるぐる巻きにされている。説明書きによれば、「足止めの狛犬」というらしい。家出や悪所通いする者に対して、家族が狛犬の足を縄で結ぶと、必ず帰ってくると言われているのだそうだ。

神社に来ると必ずすること、それは絵馬チェック! いや私の趣味ですが。男ふたり女ふたりの4人で書いたとおぼしき1枚があった。ケチるなよ!いや4人がバンド組んでいて、メジャーデュー祈願とかならわかるが。男1「彼女下さい」男2「リア充になれますように」おいおい。てことはダブルデートって訳でもないのか。女子ふたりと神社来て臆面もなくこんなこと書いてるってのは超絶チャラ男か超絶ダメ男かどっちだ。女子ふたりが「良い看護師になれますように」「みんなHappyに」と健気だけに泣けてくる。いろんな意味で。

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2013年6月10日(月)草加〜越谷

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3回目の「俺の細道」は6月10日(月)。草加駅前には草加せんべいの伝説上の創始者「おせんさん」の銅像がある。伝説のSENBEIマスターってわけか。「今様草加宿」なんて看板もあって、日光街道の宿場町ってのをアピールしている。その日光街道はいまの県道49号線とほぼ同じ。とにかく北を目指そう。

ちょうど紫陽花が満開の季節。あわい紫のこんもりした花の下には、ドクダミの白い花がこぼれるように咲いている。

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「手造りお惣菜 さかまき」という大きな黄色い看板がみえてきた。お惣菜をチョイスして弁当にしてもらえるらしい。ちょうどいいや。ちょっと早いけど腹ごしらえしよう。近くの公園のあずまやで、近所の工事のおっちゃんたちが休憩してる。その片隅にちょっと入らせてもらってランチタイム。

神明町の交差点のちょっと手前には、芭蕉さんの相方、曽良さんがピンで銅像になってる。これはちょっと珍しい。その先には札場河岸公園。木で出来た望楼があるので登ってみる。なにが見えるんでしょ。えー、あー、うん。草加の町がよくみえるね。

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ここから先しばらく、綾瀬川沿いに松林が続いていて、大名行列でも通りそうな雰囲気。芭蕉曽良コンビが歩いたころもこんな感じだったのかしらん。いい風情だなと思いきや、東京外環道の下をくぐった辺りでは一気に川の水がどよーんと灰色に泡立っていた。いくらなんでも汚れ過ぎじゃないだろか。江戸から平成に一気に引き戻される。悲しい。

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橋をわたって越谷市に入る。遠くに「日本エレベーター製造」と書かれた赤白のタワーが見えている。ちょうど下校時刻らしく、小学生とちょくちょくすれ違う。男子ふたり組が、女子ふたり組を走って追い越しながら「ばーか!ばーか!」と大声出していった。嗚呼。あの女の子のうちどっちかを好きなのかねえ。いつの時代も男子のやるこたあ同じ。わかるよ坊主。

県道をひたすら歩く。日が傾き、雲も出てきた。しぼみかけた植え込みのツツジ。等間隔にならんだ鉄塔。「ホテルオークラ」と書いてあるがどうみてもラブホだろうという感じの紫の看板…。

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16時半、越谷駅前に到着した。ん? なんだか見覚えのある看板だなと思ったら、俺の地元・門前仲町にある和菓子の老舗「深川 伊勢屋」じゃあござんせんか。こちらにもお店があったのね。思わず団子をひと串いただいて、ホッとしたところでこの日は終了。

うん。がんばろう、俺も。

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2013年5月18日(土)梅島〜草加

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足立区に入り、梅島駅前を過ぎたあたりで「ベルモント公園」という看板をみつけた。オーストラリア・ベルモント市との友好親善のシンボルとして作られた公園なのね。なるほどそれで芝生に羊さんの銅像が芝生のあちこちにいるわけか。園内はちょうど薔薇が満開。ホッとひと息つく。同時に「公園の放射線対策」と書かれた張り紙に、否応なくいまの日本を感じたりもする。

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梅島から竹の塚に進むにつれ、昭和な空気がただよってきた。たとえば食堂の店先では、食品サンプルのナポリタンを巻き付けたフォークが宙に浮いてる。ホビーショップにはガンプラと鉄道模型の箱が積み上がっている。駄菓子屋「ひばり」の名物は「元祖たこせん」だそうだ。たこ焼きをえびせんで挟んだもの。食べてみた。たこ焼きとえびせんの味がした。駄菓子屋の店先にはベンチがあって、小学生がたむろしてる。和むわあ。

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きわめつけは町の本屋さん。店頭の日覆いは年季が入りまくり、日に焼けて変色してるばかりかかなり大胆に破れてる。店番してるのはお約束どおり、ちんまりしたおばあちゃん。雑誌がいくつか並んでるほかは、店の半分がエロ本…。思わず『別マ』最新号を買って、ばあちゃんと立ち話。息子夫婦の話だのなんだの、結果的に小一時間、ばあちゃんの四方山話を聞くことになったのであった。気がつけば、傾きかけた黄色い日差しが並んだ本のうえに差し込んできてら。このまま話し込んでるわけにもいかない。立ち去るのがなんだか申しわけない気持ちになりつつも店を出た。

本屋さんからしばらく行ったあたりで、リヤカーを水洗いしてるおじさんに会う。

え、これってもしかして魚の行商ですか? 「最近はこの辺でもみんなスーパーに行くけどね。そこはそれ、買ってくれる人はいるもんだよ」にやっと笑う。そうなのか。リヤカーの魚屋さんって、幼稚園のころに見かけたきりだったわ。懐かしい。

いい加減、足もつらくなってきた。草加駅まできたところで日が暮れた。よし、とりあえず埼玉県に入ったぞ。

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