「ボランティアに参加して本当に良かった」。
被災地復興のボランティア参加者から、こんな言葉をたびたび耳にする。
ボランティアの作業自体は容易でないことが多いにも関わらず、何故こうした言葉が参加者から出てくるのであろうか。
私にとっては、三回目の参加であった。今回の作業の目的は、陸前高田市での側溝整理と遺留品捜索活動を行うことであった。側溝のふたがあるところも多く、まず重機を使いながらそれらを外す。その後スコップを使いながら、中の土を道に掘り出していくのだが、側溝のふたや大きな瓦礫などが埋まっている為、それらを取り除きながらの作業はなかなかスムーズには進まない。被災した時に流れ出たであろう油を含む土の中から熊手で遺留品を探すなど、困難な作業も多かった。
(活動前のラジオ体操)
(活動場所・内容についての指示を受ける)
(必要な道具を運ぶ)
(現場で活動の手順や諸注意の説明)
(掘り出した泥土の中をクマデで丁寧に捜索する)
(開けたフタは重機や機械を使って閉める)
それでも、このボランティア活動に参加して本当に良かったと、私も心から思っている。今回、特に心に残ったことは、「避難所について本当に知っているか?」という、被災地の語り部さんのお話であった。「あなたは避難所の場所を知っていますか。その避難所は、本当に安全ですか」「その避難所にある、備蓄の内容、量を知っていますか」「避難所の設備を本当に把握していますか」語り部さんの、ひとつひとつの言葉が心に刺さった。私は自分自身の避難所の場所は知っていたが、それ以上のことは全く知らなかった。これらのことの把握が重要ということを知っただけでも、私にとってはボランティアに参加させていただいた意味が十分にあった。
(2日目・語り部の釘子さんに陸前高田市内を案内して頂く)
(陸前高田インフォメーションセンターにて)
(最後は高台へ)
「どうか、同じことを繰り返さないでほしい」「そのためにも、避難所を孤立しない、安全な場所に作れるような社会を作ってほしい」という被災地の方々の願いが、心に響いた。そして現地の方々からは、「被災地に足を踏み入れ、私達のことを知ってもらえるだけで嬉しい」と仰って頂ける。
田代ジャパンの活動は、特定の場所や人と繋がっているものではなく、様々な地域にあるボランティア活動のニーズに応えていくものである。今後も、継続的に活動に参加することで、被災地の方々の声を聞き、その声を自分の周りの人々にも伝えてゆくことが出来れば幸いである。
文章:加藤 沙織(大学1年生)
撮影:佐藤 勇馬・高橋 紀之
【活動概要】
日時:8/15(土)9:00~15:00
場所:岩手県陸前高田市気仙
受入:NPO法人 P@CT
人数:16名
内容:側溝の遺留品捜索
概要:かさ上げ間近の気仙における側溝捜索活動ということで重機も導入され、急ピッチで作業が進められた。
他地域で行われていたものと同様の作業手順を採用し、経験者も多数いたことから進捗がかなり早かったように感じた。ご遺骨の発見には至らなかったが、遺留品が多数発掘されるなど、震災から3年以上経った今も手付かずのまま残っていた側溝の中の確認作業ができたという風に感じた。