両国国技館が見えてきた。
五月場所開催中で、勘亭流の文字も鮮やかなのぼりがはためいている。さらに行くと、横網町公園。ここには東京都慰霊堂がある。三重塔に関東大震災の遭難者、東京大空襲などの犠牲者のご遺骨が安置されている。
講堂に入り、手を合わせた。
公園の奥には復興記念館がある。館内はしん、としていた。ケースに陳列されているのは、大震災による猛火や熱風で溶けた金属類。「デマにまどわされないように」という警視庁の張り紙も展示してある。そもそも横網町公園は陸軍被服廠の跡地で、火災旋風が起こって多くの犠牲が出たところだ。
外に出ると、講堂の入口あたりに小学生男子がたむろしてる。近所の子らかな。遊戯王カードやってるのもいるし、かばんを放り出して鬼ごっこしてる奴らもいる。なんだかタイムマシンでいきなり現代に戻って来たような気分だ。
向島の桜橋を渡る。川の両岸にはブルーシートハウスが並び、その向こうにスカイツリーがそびえている。流れに沿って大きくカーブしながらひたすら歩き、南千住に着いた。ふう。芭蕉さんならここで一句詠むとこだけど、無理…足が棒。地下鉄で帰ったのでありました。